2023研究奨励賞授与式開催

2023年7月14日(金)坂口先生(学術国際委員会委員長)進行の下、清水研究科長と指導教員の田村先生・仙場先生に出席を賜り、博士課程において研究や業績・将来性など優秀な大学院生5名に、鈴木会長より表彰状と奨励金が授与されました。

Trickle-Down Unemployment over the Business Cycle
陳茹新(D2 工藤研究室 )

景気変動の中で、私は過剰資格と過剰教育の問題を目の当たりにしてきた。私の研究では、異なる市場環境にある労働者が、ジョブマッチの質に基づいてどのような選択をするのか、また、労働者のトリクルダウン効果が景気循環の中で労働市場にどのような影響を与えるのかを探った。労働市場におけるトリクルダウン効果とは、一部の労働者の賃金が上昇すると、その効果は労働市場全体に波及し、最終的に他の労働者の賃金や雇用の増加につながる。
研究の目的は、低技能職で働く高技能者が労働市場の変動性に与える影響を調査することである。さらに、景気循環下での労働市場における変動を調べるためにシミュレーションを行った。
主な結果として、トリクルダウン効果によって、有効求人倍率、求職率や欠員補充率がより大きく変動することは明らかになった。

経済と環境の絶対的デカップリングは実現可能か?
―OECD諸国のパネルデータを用いた分析-
安藤順彦(D4 藤田研究室 )

この度は、キタン会研究奨励賞にご選定いただきありがとうございます。改めてお礼を申しあげるとともに、いっそうの研究活動に励みます。
さて、私の研究は、各国で画策されつつも未だその学術的な蓄積が不十分である「グリーン成長」の実現可能性を分析することです。グリーン成長とは,経済成長と環境保全(とくに気候変動問題の解決)との両立を指す概念ですが,この2つの概念は相反するという見解は根強く普及しています。なぜなら,一般に温室効果ガスの排出は,経済の規模に比例して増加する傾向にあると考えられるからです。このため,経済成長を優先すれば環境問題は深刻化し,反対に強い環境規制を強いれば,経済成長や雇用に悪影響を与えることになります。一方で、炭素税、排出権取引、あるいはイノベーションを促進するような産業政策等の制度の導入は、環境親和的な設備投資や技術進歩を促進し、これによってグリーン成長が達成されるとする議論も存在します。私の研究では、これらの制度がグリーン成長をもたらすかを、理論的、実証的に示すことです。

公共政策と出生行動に関する政治経済学的分析
Wang Yaqi(オウ ヤキ)(D1  玉井研究室 )

少子高齢化社会において、社会保障政策が議会(政治プロセス)を通じてどのように決定されるか、決定された政策が出生率にどのように影響するかを研究している。多くの先進地域では、少子化と高齢化によって有権者に占める高齢者の割合が上昇している。このような人口動態の下で、異なる世代の利益につながる公共政策が同時に決められる際に、政党間の競争によって財源をめぐる世代間の競争が生じる。こういった背景から、政治的要因がどのように政策形成に影響を与えるかに着目した上で、年金・教育・育児手当政策の決定と人々の出生行動との相互影響を解明し、先進地域における少子化問題の改善に有用な政策提案を試みる。この度、キタン研究奨励賞をいただきまして大変うれしく思っています。ご指導いただいている玉井先生に心から感謝いたします。今後は現実的な社会問題の解決に繋げられる研究者に目指して引き続き頑張っていきたいと思います。

損益計算書の表示に関する研究:Non-GAAP利益の開示動向を踏まえて
山内麻友美(D1 仙場研究室)

私は、上場企業が開示しているNon-GAAP利益に関して研究しています。Non-GAAP利益とは、一般に公正妥当と認められた会計原則(Generally Accepted Accounting Principles:GAAP)に準拠しない利益指標のことです。つまり、会計制度によって求められていない利益を企業が自主的に開示しているのです。日本においては、特にIFRS(国際会計基準)を適用している企業がNon-GAAP利益を開示する事例が増加しています。
Non-GAAP利益について海外の企業を対象とした先行研究が蓄積されていますが、日本企業が開示するNon-GAAP利益に関する研究はまだ多くはありません。日本の制度環境下で、Non-GAAP利益は投資家にとって有用な情報であるのか、Non-GAAP利益を開示する企業の特性などを分析していきたいと思います。
Non-GAAP利益開示の増加は、会計制度に準拠した会計情報だけでは不十分であるということを意味している可能性があります。Non-GAAP利益に関して分析することで、会計制度の問題点を浮き彫りにして、新たな知見を提供することを目指します。

Delegated Persuasion in Grading Policies
李長風(D1 田村研究室 )

私の研究は、主に成績インフレーションの問題に基づいています。情報デザインとベイズモデルを利用して、学校が評定基準を引き下げる動機と成績のインフレーションが異なる状況でどのような影響を与えるかを研究しています。 現在のほとんどの国々では、教育には多くの隠れた問題が潜んでいます。
ひとつの切迫した課題が成績のインフレーションです。この用語は、学生の実際の能力を超えるスコアを授与する慣行を指します。 伝統的に、成績のインフレーションは有害と見なされています。学生の努力する意欲を減少させ、教育の質を低下させる要因となります。
しかし、ある先行研究を通じて、成績のインフレーションが学校に投資を増やす助けになる可能性もあることが分かりました。これにより、教育の質が向上する可能性があります。
まとめとして、研究の進展に伴い、成績のインフレーションは特定の条件下で有益に変わってきたということが言えます。この背景に基づき、私は成績のインフレーションの異なる文脈での影響をさらに分析し、学校と教授の間の評定基準に関する委任問題や成績をめぐる学生間の競争を論じます。この分析は、政策立案者に意思決定の基盤を提供することを目的としています。

 

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