【学生企画】卒業生インタビュー<海外で働く・住むことについて聞いてみた!その2>

海外勤務について、名古屋大学経済学部を卒業後にトヨタ自動車に入社し、タイと台湾への赴任を経験され、現在はキタン会(名古屋大学経済学部同窓会)の常務理事・事務局長を務める大黒さんにお話を伺いました。

インタビュアー:経済学部2年 高島宏太
答えてくれた方:キタン会常務理事・事務局長 大黒輝夫さん

(大黒輝夫さん)
海外勤務について、名古屋大学経済学部を卒業後にトヨタ自動車に入社し、タイと台湾への赴任を経験され、現在はキタン会(名古屋大学経済学部同窓会)の常務理事・事務局長を務める大黒さんにお話を伺いました。
〇大黒さんの経歴
1976年 名古屋大学経済学部卒業
トヨタ自動車に入社。
1987年 タイに赴任。
1992年 帰国し、経理部に復帰。
2004年 台湾に赴任。(国瑞汽車副社長)
2007年 帰国し、トヨタ子会社に転籍(トヨタ輸送常務取締役)
2018年 退任。
現在  キタン会(名古屋大学経済学部同窓会)常務理事・事務局長

Q1:トヨタ自動車を就職先として選んだのはなぜですか?
A:当時のトヨタ自動車は、今のように世界トップの自動車メーカーというわけではありませんでしたが、質実剛健でものづくりに精進している社風が自分に合うと感じたことと、グローバルに仕事し、車によって世界に貢献できると考えたことが、トヨタ自動車への就職を決意した理由です。実際に入社してみると、業務の「改善」を提案できる制度があり、自分でいろいろな提案をできる、自由な雰囲気もありました。

Q2:海外で勤務することになった経緯や海外での業務を教えてください。
A:《背景》1980年代に低燃費な日本車の販売が伸びたのですが、日本からの輸出中心であったため日米貿易摩擦などの問題に発展し、現地生産とグローバル化の必要性に迫られました。その当時私は、海外の関係会社との取引で生じる配当金や税金の取り扱い、海外投資家への渉外広報を担当していたのですが、英語の文献を読むことや外国人とのやりとりなど、海外関係の仕事における語学力不足を痛感しました。また、仕事をうまく回すことができず、毎日のように深夜帰りになってしまい、自信も失ってしまいました。

《タイでの勤務》トヨタは当時タイの産業基盤を向上させるため、自動車エンジンの国産化を目指してタイに新しい合弁会社を作ることになり、1987年に出向者としてタイへの赴任を打診されました。トヨタでは入社後に全員が必ず工場や販売店で実習を行い、製造と営業を実際に経験する現場実習を行い、現場を見る大切さを学ぶのですが、このように現地現物で経験を積むことが実力をつけるために必要だと感じ、駐在を決意しました。タイでは現地スタッフの教育や経理・購買・人事のしくみの構築などを経験し、5年間でエンジン部品の加工を行うまでに国産化率が向上しました。

《台湾での勤務》タイから帰国後は経理部門の仕事の中で欧米アジア各国への出張もあり海外に関わることには慣れてきました。そこで更に海外で仕事と人間の幅を広げたいと思い、なかでも成長性と多様性を持ったアジアへの赴任を希望しました。その結果50歳の時(2004年)に台湾に赴任することになりました。台湾では主として経理・財務以外に生産管理、購買、ITシステムも担当しました。台湾では仕事以外に日本人会理事として台湾学生への支援や交流及びプライベートでは自然と文化のある台湾の旅をしたり、またタイの人以上に親日的な台湾の人と色々な場で交流を楽しむことができました。

Q3:海外で働く上で、大変なことや苦労はありましたか?
A:特にタイは初めての駐在であり、かつ合弁会社(トヨタと現地TOP会社)の為、仕事のやり方や考え方が違うので、お互いにわかり合う難しさがありました。コミュニケーションを重視し、しっかり意見交換をするよう務めましたが、お互いに理解するために1年くらいはかかりました。また、仕事で使うのは主に英語なので、海外駐在のはじめの頃は英語でのコミュニケーションも大変で、紙とペンで対応していました。

Q4:海外で働くやりがいや学びなど、海外で働くメリットはなんですか?
A:日本では経験できない幅広い仕事と人的交流ができることです。先ほど話したとおり、日本でのやり方通りにはいかないため、文化と人を理解する必要があります。『郷に入っては郷に従え』の考え方が大切です。その姿勢を通じて外国人との接し方も理解できますし、また、海外駐在で場数を踏むことで、英語で仕事ができるようになります。

Q5:現地の労働環境や働き方など、日本で働くこととの違いはありましたか?
A:当時、現地スタッフはみんな定時で帰っていて、日本人が一番働いていました。このように日本と違うため、苦労しました。日本のやり方を押しつけるのではなく、働いているのは現地の人だと言うことを認識し、現地の考え方を理解する必要があります。

Q6:海外で働く上で、大切なことはなんですか?
A:積極的にコミュニケーションをとり、現地の文化と人を理解することです。特に、海外駐在で成功するためには、その国と人を好きになる「現地化」が重要になります。現地化は、現地の言葉の上達やさらなる人的・文化的交流につながります。先ほども話しましたが、仕事においてもやり方を押しつけるのではなく、コミュニケーションによってお互いに理解しようという姿勢が大切です。

Q7:現地語は必要ですか?
A:仕事も生活も、基本的には英語ができれば十分です。現地語を仕事で使うことはほとんどないですが、現地語ができれば現地の方々と日常会話ができるので便利です。「現地化」してその国のことが好きになれば、現地語もある程度は話せるようになると思います。

Q8:グローバル化が進む中、どんな人材や能力が求められるとお考えですか?
A:一つ目は粘り強さです。仕事の考え方や行動を身につけるには、時間がかかるので、粘り強くやることが大切です。二つ目は、職場内での「ほうれんそう」です。職場はチームプレーで成り立つので、報告・連絡・相談が職場のコミュニケーションの基礎として最も大事だと言えると思います。三つ目は、いろいろな人と積極的に関わる姿勢です。職場には年齢・学歴・個性など、幅広い多様性が存在していますから、積極的にコミュニケーションをとり、誰とでも話ができる人間関係を作れば、職場になじむことができます。海外勤務では、もちろん英語能力も重要です。しかし、英語はあくまでコミュニケーションによる相互理解のための道具であり、積極的に人と関わり、理解しようとする姿勢の方が必要です。

Q9:グローバルに活躍できる人材になるために、名大経済学部生に期待することはなんですか?
A:海外へ積極的に行くことです。旅行・留学・仕事、何でもいいので、とにかく行ってみるのが大事だと思います。ただ、やはり海外で住む経験が大切だと思うので、積極的に留学にチャレンジしてほしいです。大学には、さまざまな留学プランがありますから、是非留学してほしいです。また、留学生と積極的に交流するなど、日本の中で海外の人とふれあうのもいいと思います。必ずしも海外に出る必要はありませんが、視野が広がるのは間違いないので、どんどん海外に挑戦してほしいです。

 

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